クラゲの飼育方法
安定したクラゲ飼育の秘訣
大切にしていただきたいこと
クラゲ飼育の前に
大事なこととして多くのクラゲは毒を持っています。
ミズクラゲのように刺胞が短く、人間の皮膚を貫通しにくい物は痛みを感じることはほぼありませんがクラゲを触るときは必ずゴム手袋・お玉で掬うなど直接触れることをしないように注意してください。
クラゲの毒の強さにもよりますが蓄積していくと個人差はありますがやがてアレルギー(アナフィラキシーショック)を起こすことがあります。
酷くなると命に関わります。また、納豆(大豆食品ではなく納豆のネバネバが駄目らしいです。)を摂取することでアレルギーが促進されクラゲ毒だけでなく納豆でもアレルギー反応が現れるようになります。
ですのでくれぐれも慎重な取り扱いをお願いいたします。
クラゲ飼育全般について
クラゲを飼育する上でまず知っておきたいのは遊泳性と非遊泳性のものがいるということです。
非遊泳性のクラゲといえば当店で扱っているものですとサカサクラゲやハナガサクラゲです。
これらは特に水流はそれほど必要なく、むしろ強い水流があると飼育が困難になります。
一般に底面ろ過などで飼育可能で特にサカサクラゲはクラゲの中でも飼育が簡単な部類です。
クラゲ全般に言えるのですがろ過の際、吸込口に吸われて死んでしまう事故があります。非遊泳性のクラゲも同様です。
次にクラゲといえば遊泳性のクラゲが皆さん思いつくはずです。
ミズクラゲ・タコクラゲ・カラージェリー・アカクラゲなどなどです。
これらは海中に漂って生活をしています。この中ではタコクラゲとカラージェリーは遊泳力が高いので泳ぎ回りますが、止水で飼育するとやがて弱ってしまいます。
ミズクラゲやアカクラゲなどに関しましては遊泳力が低く、水流が無いと水槽の底に沈んでしまいいずれ衰弱して死んでしまいます。
ですので基本的に遊泳性のクラゲに関しましては適切な水流が必要となります。
クラゲが沈まない程度のゆっくりとした水流が望ましいです。ただ、こちらも吸込口から吸われてしまわないように工夫が必要です。
次に水温についてですがクラゲの種類にもよりますが30度以上の水温はクラゲが短期間で死んでしまいます。
水温を上げるのはヒーターで簡単に維持できますが、水温を下げるのは冷却ファン以外ですと水槽用クーラーなど高価な機材が必要な場合があります。沢山水槽をキープされている方でしたらエアコンと冷却ファン併用で真夏を乗り越えられると思います。
中には冷水に棲むクラゲもいますので気温によっては水槽用クーラーが必要な場合があります。
餌についてですが、基本的に多くのクラゲはプランクトンを捕食しています。クラゲの大きさや種類によりますが主にブラインシュリンプと呼ばれる一種のエビの幼生を孵化させて与えます。冷凍されたものもありますがやはり生きたものを好んで食べます。
アカクラゲや、シーネットル・オワンクラゲでは自然界では多種のクラゲを捕食していますが飼育下では、食用ムキエビ・釣り餌のアミエビ・シラス・貝類などのミンチやブラインシュリンプアダルトサイズなどを与えています。
ウリクラゲはクラゲしか食べません。
クラゲ飼育全般について2
一部共生藻を持つクラゲについてですが、一般に流通しているのはサカサクラゲ・タコクラゲ・カラージェリー(カラージェリーには共生藻がいないという意見もあります)がいます。
これらは体内に光合成をする微生物を共棲しており栄養補給をしています。ただし、これだけでは不十分でやはり餌の供給が必要です。
これらのクラゲは光が必要ですが、ただ光を当てればいいというわけではなく光合成に適した光源が望ましいです。
サカサクラゲ・タコクラゲはアルテミアの幼生をそのまま与えていれば飼育可能ですが、カラージェリーは根口クラゲの中でも口が小さいようで餌の摂取がしにくいようです。入荷個体にもよるのですが効果的な給餌はアルテミアの幼生を乳鉢ですりつぶして与えると良いようです。また、ベトナム産のアルテミアは栄養価が他より高くこぶりなため有効かと思われます。
夏場の水温対策
いよいよ水温が上昇してくる頃ですね。
クラゲにとって高水温は命とりです。
クラゲの種類にもよりますが25度以下に抑えたいところです。
ここでは夏場の水温対策についてお知らせします。
・エアコン+ファンの併用
エアコンを理想水温+3度に設定してファンで理想水温に近づける方法です。
初期投資が少ないです。最近のエアコンは電気代も安くなってきていますので負担は少ないかと思われます。
・水槽用クーラーの設置
水槽用クーラーが各メーカーから出ています。
確実に冷やせるので安心ですがいかんせん高価で初期投資がかかります。
場所も取りますし、配管も必要になります。でも確実です。
・温調冷温庫の利用
最近では1万円くらいで温調冷温庫が販売されています。
小さな水槽でなら冷温庫内に入れてしまうこともできます。
ただし、電源やエアホースなどを引き込まないといけないので若干加工や工夫が必要です。
主にポリプの保管に使われていることが多いです。
加工などする場合は自己責任に於いてお願いいたします。
・小技
エアレーションを施すと若干水温が下がります。せいぜい1度ほどですが。
クラゲを入れている飼育槽にエアが混入しないように気を付けてください。
1度くらいしか下げられませんが苦肉の策となります。
トータルで考えるとエアコンとファンの併用が現実的かと思われます。
当店でもクラゲを保管している部屋はエアコンで冷やして補助としてファンや、水槽用クーラーで冷やしています。
トータルで考えるとこの方法が一番コストがかかりません。
メジャーな5種類のクラゲ達
現在ショップやネット通販などで
一般的に扱われているのは、
恐らく以下の5種類になるかと思います。
【ミズクラゲ】
【サカサクラゲ】
【タコクラゲ】
【カラージェリーフィッシュ】
クラゲ飼育の必需品
餌・照明・海水等の飼育必需品紹介
・人工海水の素
・クラゲの餌
・照明
・ヒーター
サカサクラゲやタコクラゲ、カラージェリーフィッシュなど、温帯域に住むクラゲの種類によってはヒーターが必要になります。
ヒーターは主に、「サーモスタット内蔵タイプ」と「サーモスタットに接続が必要なタイプ」の2種類が存在します。
「サーモスタット内蔵タイプ」には所謂温度固定オートヒーターと温度可変一体型ヒーターの2種類があります。
価格が安価でコンパクトなものが多いです。200wまでのものが多くクラゲ飼育では100w以内で収まるケースが多いでしょう。
「サーモスタットに接続が必要なタイプ」はサーモスタット別体でヒーターを接続して使用します。200w以上の出力が必要な時、細かい温度調整が必要な時、水温センサーとヒーターを離して設置したときに有効です。
状況により使い分けるとよいでしょう。